「えー、この問題の結論を言うとー…」
静かな授業の中、
先生が教科書を読む声と
黒板とチョークが擦れる音だけが響く。
目を閉じていても
あたしの心は晴れなかった。
そんな時にふと、思い出すのは
おばあちゃんとの思い出ばかりだった。
今ではシン…と静まり返る家。
今でも家に帰ると、おばあちゃんが
台所から顔を覗かせる姿が頭をよぎる。
ダメだ。
目を閉じるといつも
悲しい事ばかりを思い出す。
あたしはそう思うと、
体を起こし、授業の間
黒板をただ黙って見つめていた。
「ひなたっ。あのね、葵くんが…」
「ごめん早奈英。葵の話はちょっと…。
あたし先に帰るから、葵には上手く言ってて⁇」
授業が終わると、早奈英はすぐに
心配そうな表情であたしに話しかけてきた。
そんな早奈英をよそに、
あたしは鞄を持って椅子から立ち上がる。
「え、ちょっとひなたっ。
葵くん心配するよ⁇」
「んー…でも会いたくなくて。
ごめんね。また明日ね。
ホームルームサボるから、
先生にバレたら上手く誤魔化してて♪」
「ひなたってばぁ〜‼︎」
あたしはそのまま早奈英を残して教室を出た。

