星空の日に






病院から車を走らせて
10分くらいして、
家の前に着いた。



「どうもすいません。
ありがとうございます。」

「いいのよそんな。
葵くん…ひなたちゃんを
どうかよろしくね…。
ひなたちゃん…。」

「莉緒さん…。あたしっ…」



莉緒さんは車から降りると
あたしを強く抱きしめた。


「うぅ…っ‼︎」

「大丈夫…大丈夫よ…。
何かあったらいつでも頼るんだよ…。」


莉緒さんはそう言いながら
あたしの背中をさすった。

昔から一人っ子のあたしに対して
いつも優しくしてくれていた。


「私もお葬式のお手伝いするから
後のことは任せてひなたちゃんは
ゆっくりしててね…。」


そう言うと莉緒さんは
病院に戻って行った。










ーガチャッー


莉緒さんを見送った後、
家のドアを静かに開ける。



家の中はシンッ…と
静まり返っていた。


「大丈夫か⁇」


葵の言葉にあたしは頷くと
リビングに向かった。







「…。」



その時、台所の床に
白い薬が転がっているのを見つけた。



これは…
おばあちゃんが飲んでいた
高血圧の薬…。

薬と一緒に転がっている
瓶を手に取る。



入っている薬の量からして、
まだ真新しかった。


「おばあちゃん…
ほとんど薬飲んでないじゃん…。」


いつも飲んでるって
言ってたのに…。


「嘘…ついてたんだね…。」





テーブルの上には
おばあちゃんがいつも使っている
お茶碗とお箸が乗ったままになっていた。

おばあちゃんはいつも朝早く、
決まった時間に朝ごはんを
食べる人だった。


「朝ごはんも…食べれなかったんだね…。」



涙が止まらない。
そのうち何もなかったかのように
おばあちゃんが帰って来る気がして…。

家の中は、あたしとおばあちゃんの
思い出が沢山ありすぎて辛かった。



「こんな風に…思い出だけ沢山残して…
あたしを置いていくなんてっ…。
おばあちゃんっっ…‼︎」


「ひなた…。」

「ひどいよぉぉ…‼︎
うわぁぁぁぁぁっ…‼︎」

「っ…。」



泣いても泣いても、
泣き足りなくて…
一人だけ取り残された気がした。



気付けば外は、お父さんが
帰って来なかったあの日と
同じように大雨が降っていた。