「姉貴‼︎」
それからしばらくして
亮平の連絡を受けた莉緒さんが
迎えに来てくれた。
「わりぃな姉貴‼︎」
「気にしないで‼︎早く乗って‼︎」
あたしは葵に支えてもらいながら
車に乗り込んだ。
状況がいまだに理解出来なくて、
一人で歩くのもままならない。
おばあちゃんが
あたしを置いて…
いなくなるわけない。
きっと、きっと…
何かの間違いだ…。
だから泣く必要なんてない…。
心配しなくても大丈夫…。
「ひなた…。」
震えるあたしの手を
葵はずっと握っていてくれた。
車を走らせて2時間。
おばあちゃんが通っていた病院に着いた。
「ひなた行こう。」
「う…ん。」
「私が病院の人に聞いてくるから
皆んなちょっと待ってて。」
莉緒さんは病院の駐車場に
車を停めて病院の受付に
走って行った。
「葵…おばあちゃん…
本当にダメだったらどうしよう…。」
「大丈夫…。大丈夫だから。」
葵はそう言って
あたしの背中をひたすら
さすってくれていた。
「ひなたちゃん。こっち…。」
しばらくして莉緒さんが
受付から戻って来た。
あたしの左手を優しく
引きながら歩き出す。
その後ろから、早奈英と亮平も
心配そうについてきてくれた。
エレベーターに乗って
二階で降りると一番奥の
部屋まで歩く。
〔霊安室〕
そして、
莉緒さんはそう書かれた
部屋の前で足を止めた。
「莉緒さん…待って…。
だってここって…。」
「ひなたちゃん…。
おばあさんは…。」
「嫌だ嫌だ嫌だ…‼︎
聞きたくない…‼︎」
「ひなたっ…‼︎」
暴れ出すあたしを
葵が必死に落ち着かせる。
「だってここはっ…‼︎
亡くなった人が…‼︎おばあちゃんは…」
ーガチャッー
その時、霊安室の扉が静かに開いた。
中から白衣を着た男の人が出てくる。
「佐々原やすよさんの親族の方ですか⁇」
「…。」
あたしは恐る恐る
静かに頷く。
「こちらへどうぞ。」
「…っ。」
あたしは嫌々ながらも
言われるがままに、
霊安室へと一歩
足を踏み入れた。

