早奈英と亮平よりも
少し遅れて川に着くと、
大量の花火を広げて
あたし達が来るのを待っていた。
「遅いよ〜。ほら、これ持って〜♪」
そう言われて、早奈英に
花火を持たされる。
「葵くんも♪」
「火つけるぞ〜♪」
亮平はそう言うと、
順番に手に持っている花火に
火をつけていく。
ーバチバチッー
それと同時に勢いよく
花火は音をたてて
火花を散らしながら光り出した。
「綺麗…。」
花火なんていつ振りだろうか。
小さい頃はずっと部屋に
閉じこもっていたせいか、
長い間やっていない気がした。
「きゃ〜♪楽しいーっ‼︎」
「俺は2本一気に〜♪」
早奈英と亮平も
楽しそうにしていた。
「葵⁇」
「ん⁇」
そんな中、座り込んで
じーっと花火を見つめる葵に
あたしは声をかける。
「何、考えてたの⁇」
「いや、別に。ただ…」
「ただ⁇」
「ガキん頃に、夏になると
よくこうして家の庭で花火
してたなって思って。」
葵はそう言うと、
どこか寂しげに微笑んだ。
「いいなぁ…。
あたしはいつやったかなんて
覚えてない。夏祭りとかも、
もう長い間行ってないから
打ち上げ花火もずっと見てない…。」
「そっか…。」
「ねぇ、一つ聞いてもいい⁇」
「ん⁇」
あたしも葵の横に座り込む。
「葵のお父さんは…
何のお仕事してるの⁇
あたしのお父さんはね、
普通のサラリーマンだった。
あの女がいなくなってからも、
一生懸命働いてくれて…。
あ、そう言えば…
お父さんがいなくなる前に
花火したのが最後だったかなぁ…。」
あたしがそう言うと、
葵は黙って話を聞いていた。
「俺の親父は医者。眼科医。」
「眼科医⁇」
「結構でけぇ病院にいる。
だからいつも多忙だったし
俺がガキん頃も常に仕事優先だった。」
葵はそう言いながら
消えた花火を地面に落とした。
「そう…なんだ。」
「ま、今は家に居てくれない方が
せいせいするからいいけど。
ひなた。俺もお前に話…」
「ひなたー‼︎葵くんー‼︎
もう‼︎2人でラブラブしてないで
一緒にしようよー‼︎」
ー‼︎ー
「今行くー‼︎葵行こ⁇」
「…おう。」
葵が何か言いかけた気がしたが、
特に気にせず、あたしは葵の手を引いて
早奈英達の所に戻った。

