「亮平くんー‼︎
持って来た野菜はこれで全部だよ〜♪」


「おぉー‼︎さんきゅ♪
こっちも今、火の準備終わった♪」



あたしと早奈英は切り終わった
野菜を抱えて外にいる亮平達の
元へと駆け寄った。




「よいしょっと…。」

あたしも両手に抱えていた
野菜の入ったボウルを
片方ずつテーブルに置いていく。



「貸せ。」

「あ…。」


そんなあたしを見ていた葵は、
あたしの片方の腕から
ボウルをヒョイっと取り上げた。




「あ、ありがとう…。」

「ん。」




さっきの一件から
あたしと葵はどこか
よそよそしい態度が続いていた。




「よし、じゃあ肉焼くぞ〜♪」

「乾杯もしよー♪」



早奈英はそう言いながら
皆んなのグラスにお茶を注いでいく。





「それでは…
俺たちの友情に…」



「「「かんぱーいっっ‼︎‼︎」」」





亮平の声かけで照りつける太陽の下、
静かな森の中にグラスの音が響いた。




「俺たちの友情って…(笑)
亮平、相変わらず暑苦しい(笑)」


「なんだよ〜。いいじゃんかー。
な、葵⁇」



あたしの言葉に亮平は
口を尖らせて葵の肩を叩く。


「うざ。暑苦しい。」


「ほらね〜(笑)」

「ま、それが亮平くんの良いところだね♪」

「やっぱ分かってくれるのは
早奈英だけだな〜(泣)」



亮平はそう言うと
早奈英に泣きつくふりをする。


「ま、でも。こうしてまた
ひなたが元気になって
本当に良かった。
俺らは友達なんだし、
なんでも言えよな。」


急に真面目な顔をする
亮平にあたしは戸惑う。


「亮平…。」

「そうそう♪私達なんかじゃ
頼りにならないかもしれないけど
ずーっと側にいるからね♪」





この時あたしの心は
亮平や早奈英、葵の優しさに
ただただ感謝でいっぱいだった。



「皆んな…ありがとう…。」




こんなにも…
心温まる瞬間があたしにも
あったんだって思うと
正直信じられない。


あの頃のあたしには
想像も出来ないくらい
今のあたしは幸せで、
生きているんだと…

そう、思えるようになった。