「莉緒さん遅くなってごめんなさいっ。」
「ううん、全然大丈夫だよ‼︎
もう出発しても大丈夫⁇」
「はい。お願いします。」
「します…。」
車に戻って莉緒さんに声をかけてから
あたしは後部座席に乗り込んだ。
すると、葵もあたしの後に続くように
軽く頭を下げて隣に座った。
亮平は助手席で、
あたしと葵、早奈英は後部座席。
ここから車で2時間くらい走った所に
緑に囲まれたのどかなキャンプ場がある。
息抜きにはもってこいの所。
「早奈英ちゃんも、まぁよくこんな
男を選んだね〜っ(笑)
暑苦しいでしょ〜。」
「おい姉貴‼︎実の弟に向かって
なんてこと言うんだよ。」
「だって本当の事でしょ〜(笑)」
「「はははは(笑)」」
莉緒さんと、亮平のやり取りを見ながら
あたしと早奈英は声を揃えて笑う。
ふっと、隣に目をやると
助手席側の端っこに座る葵は
ただ黙って外を眺めていた。
あたしがじーっと見つめても
葵はまったく気付かない。
なにを…考えてるのかな…。
ーちょんちょん…ー
「‼︎」
あたしが葵の左腕を
人差し指で軽くツンツンと
つつくと葵はあたしの方を見た。
ーボソッー
「つまんない…⁇」
「…。」
あたしが他の3人に聞こえないように
口を開くと葵は黙ってあたしを見た。
「別に。」
相変わらずそっけない態度。
この態度にも、もう随分と慣れた。
「別に」って言いながら
左上を少し見てプイって顔を背ける。
「無愛想な奴め…。」
あたしは葵にわざと聞こえるように
耳元でそう呟いた。
「…。」
ー⁇ー
おかしいな…。
いつもなら反発してくるのに。
「‼︎」
その時だった。
私の左肩に葵の頭が寄りかかる。
ほんのり、シャンプーの匂いがした。
「葵⁇」
「酔った。」
「え⁇」
葵はそう言うと、
少しだけ顔色の悪い顔を
隠すようにうつむいた。
「大丈夫⁇」
「ん。」
あたしは具合の悪そうな
葵の頭を動かさないように
ただ黙って前を向いていた。

