* * *
次の日あたしは、
アラームが鳴る前に目が覚めた。
カーテンの隙間から
まだ薄暗い空を見上げる。
久しぶりにゆっくり
眠れた気がした。
「んん〜…。」
外の空気を吸って
大きく伸びをする。
耳を澄ませると
鳥のさえずり、車が通る音、
それと…
おばあちゃんが朝の支度をする音が
一階から聞こえてくる。
いつもの朝。
当たり前の日常。
この窓から見る風景も、
聞こえる音も
昔から何も変わらない。
何も…。
「ふぅ…。」
あたしは小さなため息をついて、
身支度を済ませて
昨日、荷物を詰めたバッグを
抱えて一階に降りた。
「おばあちゃん、
おじいちゃんおはよう。」
おばあちゃんに声をかけてから
おじいちゃんのお仏壇に
手を合わせる。
「あら、おはよう。
今朝は早いんだねぇ。」
あたしに気付いたおばあちゃんは
洗い物をしていた手を止めて、
優しく微笑んだ。
「ご飯出来てるから、
ゆっくりお食べよ。」
「うん。ありがとう。
いただきますっ。」
おばあちゃんはお茶碗に
ご飯と味噌汁をついでくれた。
「ねぇ、おばあちゃん。
本当にあたしがいなくても大丈夫⁇」
「大丈夫じゃて。
楽しんで来るんじゃよ。」
「何かあったらすぐに
連絡してね⁇」
「わかったよ。」
「ならいいけど…。」
あたしが念を押すように言うと
おばあちゃんは、わかった、わかったと
言うように優しく頷いた。
そのおばあちゃんを見て、
あたしも少しだけ安心して
ご飯を口に運んだ。

