家の中に戻って二階に上がるついでに
リビングを覗いた。
リビングを覗くと
おばあちゃんは
椅子に深く腰掛けて
うつむいていた。
「おばあちゃん⁇」
「…。」
この間からおばあちゃんの
様子がおかしい…。
あたしはおばあちゃんに近づいて
肩を揺さぶった。
「あ、ああ。ひなたちゃん。」
あたしが揺さぶると
おばあちゃんは目を開けた。
「おばあちゃん本当に大丈夫⁇
この間から様子がおかしくない⁇
一緒に病院行こっか⁇」
「すこぶる元気と言ったじゃないかい。
心配いらないよぉ。あら⁇
葵くんは帰ったのかい⁇」
「今帰ったとこだよ。
本当に大丈夫⁇」
「大丈夫じゃて。
今お夕飯の支度をするからねぇ。
葵くんにも何か作ってあげたら
良かったねぇ…。」
おばあちゃんはそう言うと
立ち上がって晩ご飯の
支度を始めた。
あたしもおばあちゃんの横で
お皿洗いを手伝う。
「あ、おばあちゃん。
あたし明日から葵達と
キャンプに行くことに
なったんだけど…。
行ってきて大丈夫⁇」
「キャンプかい。いいねぇ。
おばあちゃんの事は心配しないで
楽しんで来るんだよ。
ひなたちゃんの体調も
良くなるかもしれないからねぇ。」
「…うん。」
あたしはおばあちゃんに
あの女と会ったことを
ずっと言えずにいた。
言えずにいたって言うよりも…
母親として認めたくなかった。
おばあちゃんは自分の娘と
会いたくて仕方ないんだと思う。
だけど…
これ以上あたしや、おばあちゃんを
傷つけて欲しくない。
だからこれから先も
おばあちゃんには
言わないでおこうと決めた。
「まだ蚊もいるだろうし
沢山刺されないように
気を付けるんじゃよ。」
「うん…。」
だから…
優しく声をかけてくれる
おばあちゃんを見ると
尚更胸が痛んだ。

