お父さんが帰ってくる。
お母さんが帰ってくる。
裏切られたのに
いつまでもそんなふうに
思っていた自分自身に
いつしか腹を立てるようになった。
もうあたしは
絶対に人を信じない。
心の底からそう思った。
「ひーなたっ♪」
だけど…
少しずつあたしの心の固い殻を
壊してくれた人がいた。
「早奈英…。」
高校に入ってからも
特に誰かと仲良くしたり
笑ったりしなかったあたしを
早奈英は少しずつ、少しずつ
あたしの心を理解しようとしてくれた。
上辺だけのあたしを
優しく見守ってくれた。
その時…
少しだけ心の重荷が
降りた気がした。
あたしは笑っても良いんだ…
そう、思えた気がした。
そしてもう一人…。
暗いトンネルの中にいたあたしに
手を差し伸べてくれた人…。
今思えばあたし達二人は
同じ人達に裏切られて、
苦しんできて…。
恨んできた。
もしかしたら葵と出会えた事は
偶然なんかじゃなくて…
運命だったのかもしれない。
そう思える事で…
あたしは少しだけ
救われている気がした。

