星空の日に






お父さんがいなくなってから
あたしはお母さんの帰りを
日が暮れるまで家の前で
待つ時間が増えた。



「ひなたちゃん、風邪引くよ。
ほら、中にお入り。」


「いい。ママが帰ってくるかも
しれないでしょ⁇」






ママが帰ってくるかもしれない。


いつの日かそれが幼いあたしの
口癖になっていた。



だけど…



「おばあちゃん、今日は
ひなたの誕生日だよ♪
今日こそはママ、帰って
来るかもしれないよね‼︎」







「おばあちゃん、
ひなたの運動会なのに…ママは⁇」






「おばあちゃん、今日は
クリスマスなのに
ママは帰って来ないの⁇
友達はみんな家族で
パーティなのに…。」




「ママはお正月なのに…
こんな時でも帰って来ないんだね…。」





「ママは…
もう帰って来ないんだ。」







お母さんがいなくなってから
1年、2年と月日が経つにつれて、
あたしの中で何かが変わっていった。



待つのに疲れて、
期待するのにも疲れた。


お母さんがいなくなってから
6年くらい経った頃。
あたしが10歳になった時には
人を信じる事を忘れてしまっていた。


昔より笑わなくなって、
一人でいることが多くなった。



中学を卒業する頃には
どうして生きているのか
それさえ分からなくなって、
お父さんが亡くなって
二度と帰って来ない事も、
誰も何も言わなくても
理解するようになった。