「葵、ご飯これくらいでいい⁇」
「ん。さんきゅ。」
あたしがお茶碗についだご飯を見せると
葵は頷いて受け取った。
「葵くんわざわざ来てくれて
ありがとねぇ。葵くんが
来てくれたらひなたちゃんも
退屈しないで済むよ。」
「いえ、そんな。
俺の方こそお世話になってしまって。」
「いやいや。孫が増えたみたいで
嬉しいんじゃよ。」
そう言って微笑むおばあちゃんを、
葵も優しい目で見つめていた。
「たいしたものはないけど
沢山食べておくれ。」
「はい。いただきます。」
「いただきます〜。」
あたしも手を合わせて、
テーブルの上に並んだ
おかずに手を伸ばす。
魚の煮物に、きんぴらごぼう。
よその家のお母さん達が
作るようなスパゲッティや
オムライスとか…
そんな洒落てるご飯は
おばあちゃんは作らないけど、
あたしは小さい頃から食べてる
このご飯が好きでたまらなかった。
横目でちらっと葵を見ると
葵も美味しそうにご飯を
口に運んでいた。
「葵くんは兄弟はいるのかい⁇」
「いえ。ひとりっ子です。」
「それじゃあ、ひなたちゃんと
一緒なんだねぇ。」
「はい。」
葵は優しく微笑む。
あたしは黙って2人の会話を聞いていた。
「ひなたちゃんは昔から1人で
寂しい思いをしてきたんじゃ。
苦労をかけてきてねぇ。本当に。」
「そう…ですか。」
「おばあちゃん…。」
おばあちゃんはそう言うと
どこか寂しげに微笑んだ。
「だから葵くん…。どうか
ひなたちゃんをよろしく頼むねぇ。
わしも残り少ない人生、
いつまで生きていられるか
わからないからねぇ。」
「もう、おばあちゃんっ。
縁起でもないこと言ったらダメでしょ⁇」
「ほほほ。冗談じゃよ、冗談。」
「任せて下さい。俺がしっかり
支えていくつもりです。」
ー‼︎ー
「葵…。」
「ありがとねぇ。」
葵がいきなり真面目に言うもんだから…
あたしは急に恥ずかしくなって
コップに入っているお茶を
一気に飲み干した。

