あたしの家を出て、
いつものように2人で歩く。


付き合う前は1人で歩くのが
当たり前だったけど、
今は葵と歩くのが
当たり前になった。




「お前、毎朝遅れて
学習能力ないのな。」

「もうー、謝ったでしょー。」


あたしは隣で呆れ顔の
葵の頬をつまんだ。




「⁇」


葵は頬をつままれたことが
気に食わなかったのか、
あたしの横から離れた。




「ちよっ…葵⁇
ごめん‼︎ちょっとした悪ふざ…‼︎」



「いつも言ってんだろ⁇
道路側歩いてたらお前は
引かれるって。」





葵はそう言って、
道路側を歩いていたあたしの手を引いて
場所を変わらせた。



「あ、ありがとう…。
ごめん。怒ってないの⁇」

「そんな短気じゃねぇし。」



葵はそう言うと
あたしの頬をつまみ返して
優しく微笑んだ。



「ぃ、痛いーっ。バカ。」




葵とこうして毎日
些細なやり取りを出来ることが
あたしにとって小さな幸せになっていた。