それからあたしと早奈英は、
グランドに移動した。
日の当たらないテントの下に座って
炎天下のもとで行われている
競技を暇そうに見ていた。
「ねぇ、ひなたは葵くんのこと
どう思ってるの⁇」
「えっ…⁇」
早奈英のいきなりの言葉に
あたしは分かりやすく動揺する。
「え⁇じゃなくて‼︎
好きなのかどうかって事。」
「いきなり言われても…。ただ…」
「ただ⁇」
「葵がああすれば喜ぶかな、とか
どうすれば笑ってくれるかな、とか。
今日みたいに葵の機嫌が
悪かったりしたら少しだけ…
なんていうか、こう…
胸が痛む…。」
「ひなたそれってもう…。」
「⁇」
あたしの言葉を聞いた早奈英は、
あたしの顔をじーっと見た。
「それが好きって事なんだよ⁇」
ー‼︎ー
「好き…って。え⁉︎
い、いや‼︎ないないない‼︎」
あたしは早奈英の肩を
勢いよく掴んだ。
「いくら否定しても、
葵くんのことばっかり
考えちゃうんでしょ⁇」
「そう…だけど…。
葵の気持ちもだけど…
宮原先輩の言葉の意味も
いまだに理解出来てなくて…。
最近スッキリしなくて…。」
「たくま先輩の言葉の意味って⁇」
早奈英が首を傾げる。
「正直…
あたし自身、自分の気持ちがわからない。
どういう感情が好きってものなのか…
どうしたらいいのか…。」
「はぁ…。」
あたしの話を黙って聞いていた早奈英は、
大きなため息をついた。
「素直になれば
心は体に勝手についていくものだよ⁇」
「心は体についていく…。」
ーパーンッ‼︎‼︎ー
「‼︎」
その時だった。
グランド側からスタートを知らせる
ピストルの音が大きく響いた。
「あ‼︎ほら、ひなた‼︎
2年生と3年生の借り物競争
始まるみたいだよ‼︎」
それと同時に早奈英は
グランドを指差した。
ー‼︎ー
「ねぇ、葵くんとたくま先輩
アンカーじゃん‼︎」
早奈英の言葉を聞き、
あたしもグランドに目をやると、
2年の列の最後尾には葵。
3年の列の最後尾には宮原先輩が立っていた。
「亮平くんトップランナーだ‼︎
ひなた前の方で見よ〜‼︎」
「えっ、あ、うん。」
早奈英に腕を引かれ、
あたしと早奈英はテントの
一番前に座った。

