見慣れた道を一人で歩く。
いつものように、同じ人が
同じ時間に行き来する。
セミの鳴く声が、余計に
暑さを感じさせる。
「おい。」
ー‼︎ー
一人で歩いていると、
後ろから声をかけられた。
その声を聞くのと同時に、
あたしの胸がほんのり
熱くなったのを感じた。
「おはよう、葵。」
「ん。」
後ろを振り返って葵に声をかけると、
いつものように短い返事が返ってきた。
「暑いね。あ、これ。
おばあちゃんから。葵の分だよ。」
あたしは思い出したように、
葵の分のお弁当を差し出した。
「さんきゅ。おばあさんにも
よろしく言ってて。」
「うんっ。」
葵はお弁当を見ると、
嬉しそうに少しだけ微笑んだ。
そしてあたしは、
いつものように少しだけ
あたしの斜め前を歩く葵を
早歩きでついていった。

