大切な押し花をとられてしまった桃太郎。
悔しい気持ちを止められません。
「どうするよ…これじゃ、村をやってけねぇよ…」
「ああ…ぼろぼろだ…どうしてこんなことに…」
「金目のものもとられちまって…」
村人達もこの惨状に顔をうつむかせます。
桃太郎が顔をあげました。
「…………やる」
「えっ?」
「取り返してやるっつってんだよ!
鬼の根城までいって懲らしめてやる!」
「なっだめだ!危ないだろう!」
「だからってこのままにしておけるか!
……絶対懲らしめる」
決意した桃太郎。
お婆さんが桃太郎の手にそっと手を重ねました。
「わたしたちの大事な息子。
必ず帰って来てくださいねぇ。
それからこのきびだんごを持っていきなさい」
「分かったよ、婆さん。
絶対鬼どもを懲らしめて帰ってきてやる!」
そうして桃太郎は鬼退治へと向かったのでした。
「あの押し花は絶対取り戻してやる…!」
ですが、桃太郎の最大の目的は鬼退治よりも押し花だったのでした。



