走っていき、ついに一番奥の部屋にきました。
遠慮なく、がらりと開けた部屋には、なんと美しい女性がおりました。
頭に角の生えた女性は切なげに目を細めて言いました。
「来てしまったのですね……。
………桃太郎様………」
「!……何故俺の名前を……」
「私はあの時からずっと、忘れたことなどありませんでした……桃太郎様……。
ですが、あなた様と私は人間と鬼。
叶うはずもなく、だからこそ家来に頼んでこれを持ってこさせたのに……」
そう言って、鬼の女性はなんと、あの押し花を手に取り撫でたのです。
「……!では、もしやお前が、あの時の……!!」
なんと、桃太郎の初恋の押し花の君は、鬼のお姫さまだったのです。