「おや、婆さん。
どうしたんだい、その大きな桃は」
柴苅りから帰ってきたお爺さんは、大きな桃を見てとても驚きました。
「今日川で洗濯をしていたら、この大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきたんですよ」
「そりゃあ驚きだなぁ。
どうするんだい、その桃は」
「二人で食べるに決まってるじゃありませんか。
桃を一度に、こんなにたくさん食べるだなんて、きっと人生最後の贅沢ですねぇ」
「そうかぁ、楽しみだなぁ。
だが、最後だなんて言わんでくれ。
わしゃ、婆さんとはいつまでも一緒にいたいんだよ、例え死んだとしてもなぁ」
「爺さん…本当、そうやってわたしを喜ばせるようなことを言うのは昔から変わりませんねぇ。
しわくちゃの顔が赤くなるじゃありませんか」
「婆さんを喜ばせるのが楽しいんだからなぁ。
いくつになっても、さらにじじいになっても、やめるつもりはないぞ」
「もう、爺さん…」
どれだけ歳をとっても、お爺さんとお婆さんはラブラブでした。



