桃太郎達は山を進みます。


「そう言えばこの辺、熊が多いみたいだね」

「そうなのか?猿。
熊は鈴を付けていれば寄ってこないというが、今は生憎鈴はないな」

「ねーねー、すずがないなら雉がなけばいいんじゃない?
にたようなものなんじゃないの?」

「おい、ちょっと待て、それは」

「そうなのか?ならば……」


雉は犬の行った通り、ケーンケーンと鳴いてみました。

すると。


「んん~?なんだ?
餌の鳴き声だ……どこにいる?」

「わああああ!熊だぁ!」


雉の鳴き声を聞き付けて、熊が現れました。


「ほら、早く逃げて、襲われるよ」


猿の掛け声で桃太郎達は逃げ出します。


「だから待てと言ったのに!」

「雉も鳴かずば撃たれまい……ならぬ、襲われまい、かな。
犬に負けず劣らず、雉も相当な馬鹿だよ」


走って走って、桃太郎達はその日の内に山を越えてしまいました。