一人と二匹で鬼ヶ島への道を着々と進んでいくと、うなり声が聞こえてきました。


「……ん?なんだろう?なんか危ない匂いがする」

「馬鹿な犬でも鼻はきくんだな、なんの匂いだ?」

「ごめん、分かんない」

「やっぱり馬鹿な犬は役に立たないね」

「そんなことないもん!犬はご主人さまに忠実なんだよ!」

「分かったから二人ともちょっと黙れ、こっちこい」


桃太郎が二匹を引っ張って草むらの陰に隠れました。

そっと向こうを覗くと、そこには怒った熊と、立ち向かう雉がいました。


「ちょ、桃太郎!たすけないとやばいんじゃない?」

「何言ってる、このままほっとけばあいつらが殺り合いして雉が死んで、弱った熊を俺達が狩れば熊と雉で今日の晩飯になるじゃねぇか」

「一緒にいて思ったんだけど、桃太郎って経済的な面に関してはかなり敏感っていうか、ケチ臭いよね…。
猿の僕でもそこまでじゃないよ。
というか、普通雉逃げないかなぁ、こういうとき」


その時、雉が大声で熊に言いました。