音楽のある日常

突然話を変えてピアノを弾く彼女を俺は黙って見つめていた。
彼女の弾き始めた曲は俺の好きなゲームのBGMだった。彼女を見つめ、ジュースの入ったグラスを傾けながら、彼女の弾くピアノの旋律を聞いていた。ただ、それだけで幸せを感じた。彼女の横顔は凄く幸せそうだった。

｢ありがとうございます。私、こういうの憧れてたんだ。好きな人がそばにいて、私のピアノを聴いてくれるの。2人とも何も話さない中、ピアノの音だけが響く時間。ちょっとロマンチックだと思わない？｣

｢そうだね。友理のピアノを聞いてたら、俺も凄く幸せだなって感じたよ｣

今度は嘘偽りのない本当の言葉。俺を変えてくれた彼女の存在。その距離が近くなったのを感じたちょっとした休日の小さな時間だった。