音楽のある日常

「そいや、優のフルート、聴いてみたいな」

「え、別にいいけど…独奏じゃ迫力ないよ?」

「別にいいよ。大丈夫」

そんなやり取りをして彼女はフルートを吹き始めた。曲名はわからなかったが、「とある女の子が好きな人に思いを伝える曲」らしい。そんな優のフルートの音は小さくて迫力もなかった。けど、その音は間違いなく俺に届いていた。

俺達しか知らない音色は2人だけの空間を飛び交ったあと、雲一つない青空に吸い込まれていった…