「行ってきます」 「行ってらっしゃい」 ドアノブに手をかけ、そう言うと、お母さんはいつも通り、優しく笑って私を見送ってくれた。 「おはよう」 その一言で、いつもの日常が始まり、道を並んで歩く時はもう無い。それぞれの夢へ向かい、それぞれの道を歩んでいくのだ。 「寂しいな」 そう考えると、寂しさで胸が押し潰されそうになった。