「好きです」
……えっと。
「弁当じゃなくて」
つまり、それは、
「石原さんが好きなんだ」
好きなんだ。
七瀬君の言葉が耳から頭に巡って、
身体中がよく分からない感情で溢れてくる。
その気持ちが指先から足先までじわじわと染み渡って、
目の内側をぐるぐる圧迫して、
口までせり上がってきて、
「好きです」
と思わず出てきてしまった。
「私も七瀬君が好き」
七瀬君の目を見て、もう一度言い直す。
恥ずかしすぎて目なんか見てられないけど、
そこは何とか頑張る。
今度は七瀬君が
「……え」
とポカーンとしていた。