「石原さんって、いつもバランスまで考えて
おすすめしてるの?」
「うーん、いつも同じお弁当すすめるのも何か違うし、
それだったら、その人の1日のバランスとか生活とかで
考えた方が提案しやすいからしてるだけだよ」
突然食べた物なんか聞いてごめんね、と付け足すと、
「ううん、全然。
じゃあ、焼き肉弁当下さい」
と言って、七瀬君は私のおすすめを買ってくれた。
「美里さーん、焼き肉弁当1つ!」
調理場に声を掛けると、出来上がるまでの間、
私と七瀬君はぽつぽつと会話を交わしていた。
「でも、ここで石原さんから弁当買うのは、
学校で喋るのとは違ってちょっと恥ずかしいかも」
「そんなこと言ったら私だって、結構恥ずかしいよ。
カウンター越しってだけなのに、
どうやって話していいか分かんないもん」
それを聞いて何を思ったのか、
「ねぇ、」
と言って七瀬君はカウンターに身体を寄せてきた。
そのまま、腕も乗せてこっちに乗り出してくる。
「それは俺がお客さんだから?
それとも……」
急な至近距離に思わず、たじろぐ。

