「あ、ごめん!
俺ったら気付かずにべらべら喋っちゃって。
じゃあ、佳奈ちゃんまたね!」
一歩後ろへ下がろうとしていた彼を
カウンターの前へぐいぐい押すと、
田中さんはぴらぴらと手を振りながら帰っていった。
知り合いになってからは何度も顔を合わせてるけど、
改めて接客するのは、照れる。
向かい合って、何となく視線を合わせられないでいると
「仲、良いんだね」
と彼が口を開いた。
声を掛けられて顔を上げると
七瀬君は私のことを見ていたのか、
ばっちりと目が合ってしまった。
「あ、田中さん?」
うんうん、と彼が首を振る。

