「名前、教えてもらってもいいですか」
名前って、私の名前?
そんなに戸惑っている顔をしていたのか、
私の顔を見ると、彼は慌てて、
「あ、すみません!
俺、七瀬雄太(ななせゆうた)です。
じゃなくて、あの、」
「石原(いしはら)です」
「……えっと──」
「私の名前」
彼は視線を彷徨わせると、ちょっと赤くなった顔で
「石原…佳奈さん」
ですよね、とぼそっと言われた。
不意打ちで名前を呼ばれて
顔が赤くなる。
昨日、田中さんに呼ばれたのを聞いてたのかな。
「や、でもちゃんと石原さんって呼ぶんで」
尚もおろおろしている七瀬君に思わず笑いながら
「じゃあ、私も七瀬君って呼ぶね」
って答えた。

