日も暮れて、辺りが暗くなってきた。
秋になって日も短くなったように感じる。
店番をしようにも暇で暇で仕方がないので、
カウンターに両腕を預けて、
私はどこを見るわけでもなく、ぼーっとしていた。
「すみません、」
見上げると、店の前に1人の男子が立っていた。
よく見かける制服は、私と同じ学校のだ。
部活帰りだからか、おっきいスポーツバッグを背負っている。
「カツバーガー2個下さい」
「はあい、220円です」
カウンター越しにお金を受け取る。
ちょっと触れた手にドキッとしながら、
お金をレジに入れた。
顔も少し赤いかもしれない。
「お待たせしましたー」
パンを袋に入れ、手渡すと、
彼はちょっと頭を下げ、ありがとうございますと言うと、
そのまま、大通りの方へ歩いていった。
名前も知らない彼が私の好きな人だ。
去り際にいつも見せるちょっとした笑顔に惹かれたのだと思う。
でも、ここで会えるだけで充分だ。