ベランダの柵を跨いだ。

無神論者だけど、都合よく神様に願ってみる。

私がいない世界は今と変わらなくていい。
だけど、結城だけは救ってください。
あいつはあんな所で寝ているべきじゃない。



冷たい秋風が吹いた。

瞬間、脳裏に浮かんだのは結城の悲しそうな顔だった。

私が消えちゃいたいと言った時の、あの表情だった。