子狐ハルの恩返し

それから数日後、時雨はトドロキ山にやってきた。




「ふぅ、、、」




時雨はキリガブに腰掛け、バッグから本を取り出し読み始めた。




僕はそんな時雨を、偶然通りかかったところ、見つけた。




『時雨?何かを、、、見てる?』




気になる、、、。




この頃、本を見るのが初めてだったので、本が本である事を認識できない。




何枚もの紙が集まった束。それしか分からない。




しかしそれに好奇心が湧く。



結構こう見えて僕は冒険家なのだ。




もっと近くで見たくて、時雨の方によると、僕は足元にあった小枝を踏んだ。



パキッ



可愛い音だしやがる、この小枝。



小枝の音に時雨が気づき、音のある方へ振り返る。



しかし、時雨が振り返る頃には僕の姿はなかった。







いや、見えなかったと言った方が正しいかな。