「こんにちは」

そう言って現れたのは、あの女だった。

「あら、名無しさん。今日はいつもと違う雰囲気で。」

憎めない口を叩くこいつが私は嫌い。

私のなんだっていうんだ。

「ところで、私の世界が動いたんだけど、心境が変わったのかしら。」

そう問う番人に言った。

「私はこの世界から抜け出したい。」

そうハッキリと私は言った。

「そうですか、ではこちらへ。」

手招きをする、怪しげな番人に近づいて座った。

「覚悟、いいですか。」

「もち、ろんです…。」

声が、掠れていく。

世界が歪む。

視界が眩む。

目が回る。

意識が飛ぶ。

起きたとき私は、何もない白の世界でぐったりとしていた。