私たちには、ネジや歯車はついていない。

けれど、刻一刻と去り行く時間はある。

ただ、私しか生きていないこの世界では何が出来るのだろう。

昨日の夢は、交差点で人が血だらけになっている夢だった。

"助けて"と言っても聞こえない。

この世界には"生きている"物だけに見える何かと、

"死んでいる"ものにしか見えない何かが存在する。

妖怪だとか、幽霊だとか。

物理的にじゃなくて、声や姿。

"見えるモノ"と"見えないモノ"

とある神隠しのお話にも出てきていた。

この世界は、死体が動いている。

話しかけても何もない。

だからこそ、この小さい世界から私だけ抜け出して。

新しい世界を拓く。

必ず幸せになる。

×××

その時、何処かで物音がした。