小さな世界。

それは、この世界のこと。

特に変わりもないこの世界で、ただ一人だけ生きていた私の物語。

突然聞こえてきたあの女の声で、私は深い深い眠りから覚めた。

こんなつまらない世界なら変えちゃおう。

好きなように、好きなことして、生きていこう。

自分の人生を決めれる。

そんな素晴らしいことが他にあるのか。

まだ見ぬ人と出会える、それに素敵な世界が待っている。

恋をしたり、仕事したりもするのだろうか。

例え、楽しくなかったとしても、乗り越えていけるのだろうか。

その時、またあの声が聞こえた。

「また、悩んでいるのですか。」

しとやかな声だが、不気味に感じてしまうような声だ。

「そんな悩むのなら、いっそやめたらどうですか?」

いっつもそういうことだけいって、どっか行っちゃうくせに。

「私も貴方と一緒で生きてるんですよ、私は番人ですけれどね。」

そういうと、フッと姿を消した。

この暗闇の中で考えたことはひとつ。

「…この世界から出よう…」

そう告げた私の何かが、動いた気がした。