ステージ脇で、私と悠さんとスタッフと沢山の人が待機している中、初めてライブをする私は緊張で今にも涙が出そうだ。

足が震えて、頭痛がして、これじゃあライブなんて―――

と、思っていると頭に何かがふわっと乗った。

――悠さんの手だ。

だ い じ ょ う ぶ

口パクで悠さんが、そう言って笑ってくれた。

私もつられて笑うと、さっきまでの緊張があっさりとけた。

頑張らなくちゃ。
そう決意した。

その時。


カチッ

何かのスイッチが入るような、そんな音がした。私はこれが何か知っている。なんせ、私の頭の中から音がしているから。...またやってしまう。これじゃあ、雨宮桜としての私を保つ事が出来ない。

どうか、こんな私を許して―――