「ねぇ, おばさん
箱を開けてよ。」
私はおばさんにそう頼んだ。

おばさんは何も言わない。

ただ私の腕を握って、
泣き続けた。

それを見て
私は思わず 泣いてしまった。

悲しかったのかは 分からないけど。

棺桶にいる母を見て
たくさん泣いたのを覚えている。

弟の笑い声が聞こえて
その方を見た。

弟は蝶を追いかけている、
楽しそうだった。

ねぇ、
どうして あなたは 泣かないの?

4歳にもならない私,
3歳にもならない弟,
何も考えない私達

その純粋な私達
何も知らなかった。

生きていることと
死ぬってこと

死ぬ?

それは何?

その時から,
その時から ずっとこの質問が頭にあった。

父に聞いて, おばさんに聞いて,
学校の先生に聞いて、宗教の先生に聞いて、
いろいろな答えが出たが、今もその質問はまだ奇妙な質問だ。

今でも,
心の中から, 遠くいる母に聞いている。

死んだ後の世界はどんな世界ですか?