今宵は満月。





月は街を照らす。




人気のない道を、二人並んで歩く。





「今日は満月だったんだね」





笑顔を見せた一人は、隣を歩くもう一人を見上げた。





「ああ、そうだな」





愛おしそうに見つめ返した。





二人の瞳は月光の中に消えていく。肌につくじっとりとした空気が、薄気味悪かった。





満月の晩。星が無数に輝く漆黒の空は、不気味なほどに綺麗だった。





.