猫が恋をしたようでして。



私は部屋番号202の扉の前で深呼吸をひとつする


私は201だから2階の1番奥の部屋だ

だからお隣さんというのはこの人だけだ


この家に挨拶すればそれでノルマ達成なのだ


でも、ここの家の人がどんな人か分からない

その状況での訪問、挨拶というのは結構緊張する


私は優しい人でありますようにと心の中で願いながらドアベルを鳴らした


すると「はーい」という男の人と思われる声が聞こえた

そしてその声のしばらくした後、ドアがひらいた


『あ、あの…隣に越してきた者です』

「ああ、君だったんだね」
『え?』

「ああ、ほらここって横に長くて212号室、こっちとは逆の方に階段と真ん中にエレベーターだけだからさ、ここまで忙しなく引っ越し業者の人が家具運んでて誰が越してくるのかなって不思議だったんだよ」
『なるほど…』


隣人さんの話しを聞きながら、私の中で隣人さんの第一印象の分析をする

女子は誰でもこういうものだと思う
初対面の数分で品定めが終わる


男の人、身長高い、笑顔だし優しそう、顔もイケメンな方

眼鏡をかけてて、髪も長さもいいぐらいで色も黒で好印象

年齢は大学生ぐらい…?

若いと思う、20代前半なのは確か…

馴れ馴れしい部分もあるけど私が年下だからだと思う

ほら、私身長小さいし、髪の毛も黒だし、童顔とも言われるし


悪くない...


「あっ、自己紹介が遅れたね。俺はここの家に住んでる井口 徹です」


いぐちとおるさん…

私は頭の中にその名前を記憶して自分も名乗らねばと思い口を開く


しかし声は小さくなってしまう

初めての自己紹介は少し嫌いだ


『私は愛垣 ねこ…です…』


「あいがき、ねこちゃん…?」


そう、こうなることは予想してた

私の名前は少し珍しい