「ごめん、誠。あたしちょっと行ってきても」

「ああ。頼んでもいいか?こっちの事は心配するな。あいつ呼ぶし。そのまま帰っていいから」

「うん。ごめん」



誠にバーを任せ、すぐに店を飛び出した。
どこに行った。

多分、ふらつく女を連れ歩くのは目立つ。
そんなに遠くは選ばないはずだ。



だとしたら。




「間にあってくれよ」




キッと、唇を噛んで走り出す。
どうしてこんなに必死になるのか。



胸がざわめく。



思い出したくないことまで、思い出してしまいそうだ。




だめだ。
今は、彼女の事だけを考えるんだ。