――もしもし!?沙紀!?あんた、無事なの!?
「お母さん、落ち着いて。大丈夫だから。仕事だったし」
――そうよね。そうだとは思ってたんだけど・・・
管理会社との電話を切るとすぐに実家にかけた。
お母さんからの電話も、その件についてだろうと。
――アパート全焼だって?
「・・・うん。そうみたい。まだ現状みてないんだけど、もう住むのは難しいし、家具とかも全部燃えてしまってるみたい」
――あんた、どうするの?
「・・・貯金がないわけじゃないけど、・・・あのさ、お母さん・・・」
――うちに帰ってきなって言ってあげたいけど、うちはお兄ちゃん夫婦がいるし、部屋は余ってないのよ
わかってた。
お母さんたちはお兄ちゃん夫婦と同居していて、私が帰る場所はない。
私が実家に帰る時は、両親の部屋で寝るくらいだし。
――もうすぐ家を建てようって考えてるから、それからなら良かったんだけど
「うん・・・。わかってる」
――お金くらいは用意してあげられるから、とりあえず寝泊まりできるところ確保しなさい。職場に近い方がいいだろうし
「うん・・・」


