「ただいま、沙紀」



そう言って抱きしめてくれた春さん。
温かくて、優しくて、力強くて。


ああ、戻ってきてくれたんだと実感した。




「全部、終わったんですか?」

「うん」



春さんはとてもすっきりした表情をしていて。
男の人の姿の春さんは、すごくかっこよくてドキドキする。



女の姿でも、男の姿でも。
どっちの春さんも、大好きだ。





「マンション。沙紀が住んでてくれたの?」

「あ、はい。倖也さんに話したら、戻ってくるまでいたらいいって」

「そっか」




私の事を沙紀って呼ぶ春さんは。
もう以前の春さんじゃないっていう現れみたいで。