小さい頃から、跡取りとして期待されて生きてきた。
マナーや、勉強、すべては完ぺきを求められ。

それ以外は許されなかった。



周りから向けられる目は、卑しい視線ばかり。
自分の事を、oki centralgroupの跡継ぎとしか見ていない。



近づくものはすべて、なにか見返りを期待して。




望まれていたのは、“沖春馬”ではなく。
“oki centralgroupの跡継ぎの沖春馬”だった。



堅苦しい家。
学校でも、父親の愛人の子どもが通っていることで好奇の目で見られて。



落ち着ける場所も、安らげる場所もなかった。



初めて、反抗して逃げ出した沙紀で倖也に会って、初めてあいつの家にいった。
始めてやったゲーム、おしゃべりの絶えない夕食。


全てが初めてで、キラキラと輝いてた。