そういう優しいところ、忘れるところだった。
恩を仇で返すなんて最低だ。



「春さん!触れませんから、私に看病させてください!」

「・・・いいから。こういうの慣れてるの。放っておいて」

「放っておけません!」



私は叫ぶ。
春さんは驚いたように振り返り私を見た。




「春さんは、私をかいがいしくお世話してくれました。初対面の私を、迷惑がらずに。だから、私も春さんのためになにかしたいんです!嫌なことはしません。触るなっていうなら、絶対に触りません。だから・・・」

「・・・勝手に、して」

「・・・はい!勝手にします!」




諦めたのか、春さんはそう言うとフラフラと寝室に向かう。
私は先回りして戸をあけたり布団をはいだりテキパキと動いた。

ベッドに横になった春さんは、とても赤い顔で息苦しそうに荒い呼吸をしていた。

熱があるんだ。




「熱があるのにシャワー浴びたんですか!?悪化したらどうするんですか!ていうか、悪化してますよね」

「・・・汚いの、嫌なのよ」

「汚いって・・・」



潔癖症、なのかな。
そんな事言ってる場合じゃないのに。