“愛人”という言葉の意味をちゃんと理解したのはそれから2年後の事だった。
周りも、その言葉の意味を理解し始め、俺がそうなのだとわかると、一斉に標的になった。
大人に言われ続けていたことを、同い年の子どもにまで言われるようになった。
「お前、愛人の子どもなんだろ」
「愛人ー」
「お前の母ちゃん、妾ってやつだったんだろ?」
子どもは時に残酷で。
真っ直ぐに言葉の刃を向けてくる。
悔しかった。
愛人、その言葉の意味を知って。
母親がしていたことを知って。
少しだけ、裏切られた気持ちになった。
その頃、少しだけ母親ともうまくいかなくなった。
何度もぶつかって、暴言を吐いて、罵った。
それでも、母親は一度も言い返しもせず、すべてを肯定した。
「うん。母ちゃんが、悪い。ごめんね」
そう言って・・・。


