「守屋、元気出せ」



後ろからポンと頭に手を乗せられ優しい声が降ってくる。
目の前にいた綾乃がニヤッと笑うとそそくさと行ってしまった。




「・・・東島先輩!」



振り向いた先にいた憧れの東島先輩に私はさっきまでの気分の降下も忘れたように高揚する。




「経営悪化してるこの会社より、もっといい会社はあるだろうし。守屋は頑張り屋なんだから、きっとどこでもやっていける。前向きに考えないと」

「・・・先輩・・・。はい。そうですよね。ありがとうございます」



先輩に言われると、なんでこんなに素直に受け入れられるんだろう。
きっと漫画だったら、先輩の周りにはキラキラした効果もしくはバラの花が散ってるんだろうな。
それくらい先輩は、かっこよくて、完璧な人。




「あと半月、一緒に頑張って働こうな」

「はい!」




半月・・・。
先輩と働けるのも、あと半月なんだ・・・。