「ここの、ケーキ美味しいんですよ」



向かい合わせの席に座り、嬉しそうに笑う徹平くんを見る。
結局、徹平くんに言われるがまま、こうして会うことになった。


突き放せなかったのは、自分と徹平くんを重ねたからだ。
思いに応えられないくせに、ずるい。




「紅茶も、いろんな種類があってお勧めです」

「そうなんだ。悩むね」




メニュー表を一緒に眺める。
なんで、徹平くんはこんなにもまっすぐなんだろう。


それぞれ選んで注文すると、しばらくして運ばれてくる。
私はいちごのタルト、徹平くんはチーズケーキを頼んだ。




「徹平くんはさ、大学生?」

「はい」

「そっか」

「沙紀さんは、社会人です?」

「うん。3月から、新しいところで働くことになって」

「そうなんですね。頑張ってください」