「すごい子だね。まっすぐというか、ああいうのを肉食男子って言うのか?」



男がトイレに行き、沙紀がバーを出て誠がこそっとそう言った。
俺は、考え込むように黙ったまま何も答えない。

答えることができなかった。


目の前で、まっすぐに告白するあいつを見て、胸がざわついた。
このざわつきの原因がわからなくて困惑する。


いいことじゃないか。
俺のことで、いろいろと負担をかけていることはわかってる。
前の恋で、傷ついたことも。

だから、沙紀が幸せになれるのなら、年下だろうが、なんだろうが、よかったと喜ぶべきだ。



俺は、よかった、と喜んであげるべき立場だ。




「・・・誠、ちょっとやっぱりさっちゃんを送ってくる」

「ん?ああ、いってらっしゃい」




男はトイレに行っているし、たぶん別々に帰るんだろう。
だったら、自分が送っていってやる方がいい。

またあいつがいたら・・・。