「沙紀―――」



縋り付くように抱きついた春さん。
春さんの身体は震えていて。
胸が痛くなった。



「春さん、ただいま」




そう言って春さんの身体を抱きしめた。
縋ってくれるのが嬉しいだなんて、ひどい話かもしれない。


それでも。
必要としてくれてるのが嬉しくて。




しばらく抱き合っていた後、少し気まずそうに身体を離した春さん。




「・・・ごめん」

「年越しそば、食べませんか?」




気がまぎれるように、私はそう言って笑った。