モノクロだった世界に色がついた。 冷たかった心にポッと灯がともった。 顔を見ればすべてがつつみこまれたような。 「さ・・・」 伸ばした手で、沙紀の身体を抱きしめて。 きつく、きつく、離さないように。 「沙紀――――」 作っていない、ありのままの自分で名を呼んだ。 こんなにも。 こんなにも。 温かい気持ちがあるんだ。 初めて、そう気づいた。