突然の上司からの勧告に絶望する。
これから、どうしたらいいの?



今月末・・・あと半月ほど。




「沙紀(さき)、大丈夫?」

「綾乃・・・。大丈夫じゃないよ・・・」



同期の藤崎綾乃(ふじさきあやの)。
話しやすくて一番気の合う同期だ。

私のほかにも呼び出されていた人がいたらしく、先に戻った人から事情は聞いているらしい。




「なんで私なの・・・。私、頑張ってきたつもりなのに」

「・・・沙紀。なんて言ったらいいかわかんないけど、元気出して。まだ半月は一緒に働けるんでしょ?」




同じ同期で、同じ部署なのに、どうして私なの。
なんて嫌な考えがどうしても浮かんでしまう。
でも、わかってる。

綾乃は仕事ができる。
丁寧で迅速。
手放したくない人材だろう。

それに引き換え私は、いたって平凡で普通。
目立ったミスはないけど、特別秀でているわけでもない。
どちらを選ぶかといわれたら明白だ。