「では、春さん。よいお年を」

「ええ。よいお年を」




私は荷物をまとめ、帰省するため朝早くにマンションを出ようとしていた。
春さんが私を見送ってくれる。



「春さんも、ご実家に帰るんですか?」

「・・・うーん、どうかしら」

「?迷ってるんですか?」

「迷ってはないけど、まぁ、さっちゃんは気にせずゆっくりしてきなさい」




なんとなく、誤魔化している感じの春さん。
私に言いたくないことなんだろうけど。


深く追求するのもね。




「じゃあ、いってきます」

「気を付けてね」




春さんに見送られながらマンションを後にする。
実家は新幹線で1時間ほど離れた場所にある、田舎だ。