「んんん―――――!」




ベッドに突っ伏し、枕に顔を押し込めながら漏れないように叫んだ。
ずっと、ずっと、この調子。


心臓はいつまでもうるさくて。
頭の中には春さんがたくさん棲んでいて。


キスされた瞬間。
意識が全部持っていかれたような感覚に陥った。

男口調の春さんに、ああ、男の人だったって何度目かの確信を持って。
一気に、今までの優しかったこととか、護ってくれた事とか、いろんなことが巡ってきて。


女友達という位置でいたはずの自分の土台がボロボロと崩れていくのを感じた。





こんな、無謀な恋を自覚してしまうなんて。





だめだ。
この恋は、気づかれてはいけないと、すぐに気付いた。



春さんは、女の人が嫌い。
なぜか私は受け入れてくれているけれど、それは私が“友達”という位置にいるから。